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2025年度が始まって思う ―尊重しあう職場、信頼される医療―

院長

院長 栗栖泰郎

新年度が始まって、ゴールデンウィークはとうに終わり、山々の緑はますます色濃くなり、外は爽やかな風が吹いています。 家々の片隅にはドクダミが咲きはじめ、梅雨の近づきが感じられる季節となりました。 浜田医療センターも新しい年度を迎え、各部署には、新人の入職、人事異動、昇任などがあり、院内にも新しい爽やかな風が吹いているのを感じます。皆様は、いかがお過ごしでしょうか。

私は2023年4月に院長に就任し、2年が過ぎました。過去の2年間は、想定を超えた重責でバッテリーの容量をオーバーしてしまいましたが、職員の日々の努力により、病院の運営を続けることができました。 職員一人ひとりに心から感謝しています。同時に、充電切れを経験したお陰で得られた気づきもありました。

昨今の日本中の医療機関・福祉施設の経営状態は厳しさを増しています。収益増を上回る材料費や人件費の高騰が大きな原因であり、当院も例外ではありません。 他施設では既に規模を縮小したり、継続を断念したりしたところもあります。 また、増え続ける高齢者人口と、それよりも速く減り続ける生産年齢人口を前にして、国は高齢者人口が最大になると見込まれる2040年を見すえて、地域医療をいかに適切に継続するかという地域医療構想について検討し、 今年度中に各自治体における計画のためのガイドラインを発表する予定です。 その中では、人口構成や地理的な特徴なども考慮した区分をつくり、それぞれの区分についての考え方が示されるようです。島根県でも、国のガイドラインよりも早く既に検討が始まっています。

浜田医療センターも、このような経営と人員確保の課題の中で、地域において必要とされる医療を持続的に提供できるように運営していかなければなりません。 一病院や各都道府県だけで解決できるものではなく、国全体で、国民一人ひとりの幸せはどこにあるのか、そのためにどこに予算をつけるのかを、もっと真剣に考えなければなりません。

浜田医療センターが最も重視すべきミッションは、浜田二次医療圏の住民の方々が安心して日常生活を送ることができるように、医療を通じて「地域で生きる」を支援することであり、当院の基本理念でもあります。この理念達成のために、当院では、このスマイル&ハート誌の見開き左側に書かれている6つの基本方針を立てており、その際に守るべき患者さんの権利として、同下のような5つの権利を意識して職員一同職務に励んでおります。

昨年度末には、前述の6つの基本方針ごとに、病院としての目標と方針を提示し、それぞれの部署ごとに、その達成に向けた目標と方針を設定し、新年度を迎えております。
今年度は、さらに、これらの運営を行う上で職員一人ひとりに意識してほしいスローガンとして、「尊重しあう職場、信頼される医療」を掲げました。 地域に貢献できる健全な組織運営のために、職員、組織、患者さんのそれぞれを大切だと考えています。

職員一人ひとりが自分自身をかけがえのない自己として大切にできなければ誰かを大切に思うことは困難ですし、自分が幸せでなければ誰かに幸せをシェアすることは困難でしょう。
同様に、一人ひとりが自己を大切にし、それと同時に、同職種他職種・正規非正規・個々の特性などにかかわらず、職員同士をお互いに大切にし、尊重しあえなければ、組織として幸せをシェアすることは困難でしょう。

病院という組織が幸せでなければ、患者さんを幸せにすることも困難であり、私たちの病院が理念を達成することも困難になるでしょう。 このような組織を目指す努力をし続けてこそ、地域の住民の皆様に信頼される医療を提供できることでしょう。 「尊重しあう職場、信頼される医療」には、そのような院長としての強い思いを込めています。

とは言え、私たち職員も人間です。日々の多重課題の中での医療現場において、自己を研鑽し、振り返り、自分の健康管理にも留意しながら業務を続けていますが、 気づかないうちに住民の皆様の幸せに逆行するような言行や失敗もすることもあるかもしれません。

そのような時には、どうか優しく諭していただければありがたく思います。
「尊重しあう職場、信頼される医療」の構成要員には、地域の住民の皆様も含まれていることを忘れないでいただきたいのです。
当院職員も患者さんもお互いを尊重しあう職場(病院)であり、その結果お互いに信頼できる医療を提供し任せてもらえる病院にさらに近づいていけるように職員一同努力してまいります。
今年度も、住民の皆様の暖かいご支援をたまわりますよう、よろしくお願い申し上げます。