朝夕は次第に涼しさを感じるところとなりましたが、皆様お健やかにお過ごしのことと存じます。浜田医療センターの研修医2年目長谷川央(はせがわあきら)と申します。この度は研修医だよりで紹介いただけるとのことで、私の身の上話を少し皆さんに読んでいただきたいと思います。
私は兵庫県神戸市の出身で、中学高校は滝川中高等学校という男子校に通っていました。兄が通っているからという単純な理由で私も入学しましたが、そこで待っていたのは楽しくも哀しい男だらけの生活でした。男子校でよかったことは女性の目が気にならないことです。変に気張らず自由にのびのびとした学生生活を送れました。休み時間は友達と語り合ったり、サッカーをしたり図書館で本を読んだりと…そのような自分に使う時間をたくさんとれました。女性に気を使う時間がなかったことは(まだ恋愛観が未熟だった)私にとってよいことだったと思います。しかし悪かったことは女性との接し方がわからなくなったことです。当時の私は女性に話しかけられようものなら目も合わせず顔を真っ赤にして挙句の果てには小刻みに震えていたのです。そんな状態で急に女性が半数もいる大学生活を送れというほうが無茶な話でした。今振り返ると大学一年生の私は黒歴史そのものでした。
島根大学医学部に入学し、初めは学校生活もままならない状態でしたが、次第に医学部特有の勉学の忙しさ、面白さが私の女性への意識を和らげてくれました。医学はどの診療科の勉強も興味深く、できることなら全部の診療科を専攻したいと思ったこともあります。そして最終的に私が一番やってみたいと感じたのがロボット手術でした。今思えば医学部入学前からロボット手術は何となく
かっこいい、というぼんやりとしたイメージを持っていました。5、6年のポリクリでその夢を目の当たりにし、今の自分にそれを扱える選択肢があるという状況でその道を選ばない理由はありませんでした。ロボット手術を行える診療科の中で特に興味を持ったのが泌尿器科です。ロボット手術を先駆的に取り入れており手術件数が多く、膀胱鏡・開腹・腹腔鏡といった手術のレパートリーも多い、また外科内科両方の側面を持ち合わせているという部分に惹かれました。あとは今まで私が出会った泌尿器科の先生方は朗らかで余裕のある楽しそうな先生が多かったというのも憧れる理由となりました。
現在は研修医二年目として様々な診療科をローテーションさせていただき自分の志す診療科以外の知識を学んでいるところです。ある時、上級医に「研修医はいなくても仕事は回る」と言われたことがあります。それにより私は研修医とはどのような存在かを考えさせられました。研修医とは「自分の力量を謙虚に把握し、できることを少しずつ増やしていく過程で誰かの役に立つ。そして自分の成長は自分一人の努力の成果なのではなく、必ず上の先生方の時間を削りご指導いただいた上に成り立っているものだという自覚を持つ」べきだと考えました。常日頃から周囲の方々への感謝を忘れずに精進していきたいと思います。
最後になりましたが拙い文章にも関わらず、ここまで読んでいただきありがとうございました。季節の変わり目で体調を崩しやすい時期でございますので、お身体を崩されぬようご自愛ください。